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母達が再婚する前にも、義父は俺がまだ幼かった頃から、何度も美優を連れて家に遊びに来ていた。
その為か、身内になる事に今更抵抗を感じたりはしなかった。
父の親友だろうが俺には関係ない。
むしろ父親の記憶が無い俺には、美優の父親の方がよほど父親らしかった。
あの人は父との友情よりも母との愛を取ったわけだが、そんな事も俺には関係無かった。
大人の事情ってヤツで片付けてしまえば良いんだろう。
でも……
「先越されたな」
「ん?」
俺の呟きを耳聡く拾った美優は顔を上げて、俺の顔を覗き込んできた。
「……何でもない」
俺は曖昧な笑顔を作って返した。
俺と一緒に住める事を心から喜んでいる美優には言えなかった。
“本当は俺達が結婚したかったな”なんて。
美優を愛しているからこそ、この義兄妹という関係で一つ屋根の下で暮らす事は、とても辛かった。
きっと美優も、俺を好いてくれている。
それは兄としてでは無く、男として。
そんな確信があったからこそ、尚更悔しかった。