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「朝から何だよ。大声出すな」
携帯を耳から少し離し、気怠さを隠さず声に出した。
『朝じゃねえよ!いいから話があんだよ、今から駅前のファミレスに来い!』
小野田はそれだけ言って、一方的に電話を切った。
一体何なんだ。
いきなり大事な話があるから来いだなんて。
俺はすっかり覚めてしまった眠気を惜しみ、窓の外を眺めた。
そこから見える景色は、青々とした山とたんぼと、まるでこの町全体を観察するみたいに真上近くまで昇った太陽だった。
「今日も暑いな」
呟いた声が、蝉の叫び声に消された。
取り敢えず、小野田に会う為支度を始め、駅前に一つしかないファミレスに向かった。
自動ドアが開き、冷気で満たされている店内へと足を踏み入れる。
その涼しい空気を肺に入れようと深呼吸していると、小野田が「こっちだ」と奥のソファーの席から腰と手を上げた。
まるで恋人同士の待ち合わせの様な光景は、俺の気怠さに拍車を掛けた。
小野田の声に従いその席まで行くと、店員が氷と水の入った少し小さめのグラスを俺の前に置き、注文を聞いてきた。