【改訂版】異世界でわたしは恋をする
プロローグ
「・・・ごめん、悠里、別れよう」
――それが2年付き合った彼から言われた言葉だった。
全く最近の私はついていない。
つい一週間前に財布を落としてしまい、3日前は仕事でミスしてしまい、連日夜中まで残業をするハメになってしまった。
気持ちも身体も疲れ果てていた私に、さらに追い打ちをかけるように、彼からの別れの言葉。
家の近くの公園。
辺りに人の姿はなく、私たち二人だけだった。
彼と会うのは一か月振り。
元気だった?とか、髪の毛切ってさっぱりしたんだねなんて、そんなたわいのない話もないまま、唐突に別れを告げられた。
なんとなく気付いてはいたんだよね。
どことなくよそよそしくなって、会う回数もめっきり減って、ここ2ヶ月ばかりは連絡もなかった。
最初はなんとか話題を見つけてはメールをしていたけど、返ってくる返事はそっけないもの。
気持ちが折れちゃって、そのメールすらしなくなってしまって、時間を見る以外はほとんど使うことがなかった。
そんな携帯が珍しく鳴って出れば、『久しぶりに会いたい、話がある』と彼の声。
彼の声に少し心は高鳴ったけれど、電話越しに聞こえる彼の冴えない声のトーンに不安が襲う。
その時点でなんとなく察してた。
ああ、もう終わりにしたいのかな、って。
だからだろうか、別れようと言われてもあまりショックを受けていない自分が、そこにいた。
むしろ悪いことが起こりすぎて、何も動じなくなってしまった、というのが正解なのかもしれない。
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