【改訂版】異世界でわたしは恋をする
「牢屋?なぜそんなところにユーリを?」

だけどウィルは私の思いとはよそに、不思議そうな顔をしてこちらを振り向いた。

「だって、この世界には見たこともない人間でしょ?私は」

「・・・そうだな。もし、ユーリの身体から魔力が感じられたならそうしたかもしれない。この世界では人は少なからず魔力を持ち合わせている。この城の周りも魔力で結界を張っているし。強力な結界破りの術を使わなければ正門以外から入る事はまず出来ない」

ウィルの瞳がギラリと光る。

「やはり、ユーリの身体からは何も感じられない。この世界で魔力を持たない人間は皆無なんだ」

魔力、ときいても全くピンとこない。

オーラみたいに見えるものなのだろうか。

・・・よくわからない。

「もしスパイだったら、そんな目立つ格好をした者が、庭で気を失うなんてヘマはしないだろうし」

ふふっと笑いながら、私を見つめた。


「それに」

「それに?」

「・・・・いやなんでもない」

そう言うと、私から視線をそらした。


「まあ、心配するな。ユーリはこの城で面倒を見よう。ユーリがどんな所から来たかは後でゆっくりと聞こう。そして、元の場所に戻れるのかも私が責任持って調べる」

その言葉に少しホッとした。



この部屋だけでも見慣れないものばかり。

きっと外も私の知らないものばかりなはず。


そんなところに放り出されたらたまったもんじゃない。

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