【改訂版】異世界でわたしは恋をする
ユーリが目が覚めたとの報告を受け、部屋へと行くとまず最初に目に入ったのは、今まで見たことのない、黒い瞳。

その瞳の色にしばし目を奪われる。

漆黒の闇のような深くて複雑なその瞳の色は、この世界では誰も持ち合わせていない、唯一の色。

彼女はそんな瞳をただ一人持って、私の目の前にいる。


そしてもうひとつ驚くべきことは、彼女からはなんの魔力も感じられないということだった。

この世界の人間は赤ん坊ですら、生まれながらに微量の魔力を持ち合わせている。

皆、その魔力を使って火を起こし、風を吹かせ、水を生み出し、生活のために活用している。

さらに魔力が強いものは、国を守るための仕事へ就いている。


この世界では魔力はなくてはならないもの。

魔力を持たない人間など存在しないはずだった。


・・・なのに。

どんなにユーリの魔力を感じようと思っても、感じることは出来なかった。


何かがおかしい。

あり得ないことが続きすぎている。


その時、私はある事に気付いた。


もしかして、この世界の人間ではない?

と。


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