【改訂版】異世界でわたしは恋をする
1 見知らぬ世界で目覚めて
――どのくらい寝ていたのだろう。
目の前がいきなり明るくなったように感じて、私は目を開けた。
やけに眩しく感じて目を細める。
が、見慣れない天井に大きく目を見開いた。
それは今まで生活していて、実際に見たことのない天井。
とても綺麗な彫刻が施されている。
世界史の教科書で見るような中世の絵画のような、そんな感じの彫刻だ。
「・・・なにこれ?」
まだ夢の中?
・・・でも匂いも、聞こえてくるものも、全てハッキリと感じることができる。
不思議な匂い。人工的な香りではない。
自然なものなのに、嗅いだことがない香り。
そしていつもうるさいと感じる車や機械の音が、一切聞こえない。
どうやら私はベッドで寝かされているようだ。
ふかふかしていて、自分の家のベッドに比べたら何百倍も寝心地がいい。
私はゆっくりと上半身を起こした。
頭を左右に動かして辺りを見るけど、目に映るもの全て、普段お目に掛かれないようなものばかりが置いてある。
装飾が施された家具、壁に飾られたアンティークな絵画や骨董品。
触るのも憚れるような高価なものがあちこちにあって、身がすくんでしまいそう。
「ここ・・・どこ・・・?」
寝すぎたせいなのか、それとも現実離れした部屋にいるせいか。
私の頭は思っている以上に働いていない。