【改訂版】異世界でわたしは恋をする
あれ以来、ウィルが私の部屋に訪れることはなかった。

食事も王達と私だけで、顔を合わせない日が何日も続く。

聞けば10日後にようやく兄が戻ってくるそうで、それに関しての仕事が忙しいらしい。


「通常の公務に加えて皇太子の引継ぎと、式典やパーティーの準備でなかなか終わらないみたいですわ」


それを聞いて少しホッとした。

その方が今はありがたい。
どんな顔して会ったらいいかわからないから。

「ユーリ様にも、ルード様が帰ってくる際に行われるパーティーにはご出席していただきたいとの事ですので、少し忙しくなると思いますがよろしくお願いしますね」

「え?わたしも出るの?」

「ええ。皇太子殿下たっての希望です。そこで参加する者にお披露目したいと」

ええええええ!?
ちょっとまって!?

「無理よ!何にもわからないし、迷惑かけちゃうよ。無理むりムリ!」


パーティーって、煌びやかなドレス着て、ダンス踊ってってやつ?

見たことがないからどんなものか想像でしか分からないけど。

無理だよ、私には。

社交場のマナーもルールもわからないのに。

「出られないよ!私なんかが出たら迷惑をかけちゃう」

「心配する必要はありませんよ。その場では皇太子殿下についていらっしゃればいいですし、最低限のマナーは今から仕込みますので」

「へ?し・・仕込む?」

「はい。私イザベラが責任を持って」

そう言ってニコリと笑った。

その笑顔が、すごく怖くて。


・・・なんか嫌な予感。



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