【改訂版】異世界でわたしは恋をする

この間、二人が何を話しているのか分からないままだった。

例の件って?
分かったって何がだろう?


「ねえ、ウィル。さっきのお兄さんと話していた事って・・・?」

「ああ、召喚の事だ。どうしてここにユーリが来たのか、それが分かった」

「えっ!?」

「近々その話をすることになっているから、その時はユーリ、君も一緒に」

「う、うん。分かった」


・・・ついに分かる。

私がここに来た理由が、明らかになる。


――早く知りたい。

なぜ私がここにいるのか。ここに来たのかを。




「――リ。ユーリ、意識が飛んでるぞ」

ウィルの声にハッと我に返った。
どうやらその事で頭がいっぱいになっていたようだ。


「あ、・・・ごめんなさい」

「今はこのパーティに集中して」


ウィルは軽く笑顔を見せる。

「さすが、私の兄上だ。やはり兄はこの国の次期国王にふさわしい」

「ウィルはもう皇太子ではないの?」

「ああ、午前中の式典で兄に皇太子を返上した。今はもう皇太子ではないよ」

「そうなの。・・・お疲れ様」


< 56 / 68 >

この作品をシェア

pagetop