【改訂版】異世界でわたしは恋をする
この間、二人が何を話しているのか分からないままだった。
例の件って?
分かったって何がだろう?
「ねえ、ウィル。さっきのお兄さんと話していた事って・・・?」
「ああ、召喚の事だ。どうしてここにユーリが来たのか、それが分かった」
「えっ!?」
「近々その話をすることになっているから、その時はユーリ、君も一緒に」
「う、うん。分かった」
・・・ついに分かる。
私がここに来た理由が、明らかになる。
――早く知りたい。
なぜ私がここにいるのか。ここに来たのかを。
「――リ。ユーリ、意識が飛んでるぞ」
ウィルの声にハッと我に返った。
どうやらその事で頭がいっぱいになっていたようだ。
「あ、・・・ごめんなさい」
「今はこのパーティに集中して」
ウィルは軽く笑顔を見せる。
「さすが、私の兄上だ。やはり兄はこの国の次期国王にふさわしい」
「ウィルはもう皇太子ではないの?」
「ああ、午前中の式典で兄に皇太子を返上した。今はもう皇太子ではないよ」
「そうなの。・・・お疲れ様」