【改訂版】異世界でわたしは恋をする
色んな重圧と責任が今まで圧し掛かっていたんだろう。

皇太子の名が外れ、ウィルは肩の荷が下りたのか幾分かホッとしているように見えた。


「これから、ウィルはどうするの?」

「いずれこの国の領地をいくつかもらって公爵になる。すぐではないけれど。当分は第二王子としてこの城にいるんだ。まだやることがあるからね」


「お話の途中申し訳ない、ウィル様」

ルードと話終えたのを招待客の何人かが見ていたのであろう、次々と声を掛けられる。

隣国の公爵、伯爵、その令嬢、などと紹介されるが、よくわからない。

とりあえず笑顔で軽く挨拶を済まし、その場をやり過ごした。


「ユーリ嬢、いかがでしょう?ぜひ私にダンスのお相手を」

紹介された伯爵の一人が私にダンスを申し込む。
断ろうと話をする前に、ウィルが間に立ち、断った。

「・・・あいにくユーリはこういった場に慣れていなくてね、遠慮してくれないか?」

「おやおや、ははっ、これは残念」

ウィルの言葉に大分棘があるように聞こえたけれど。

・・・・気のせいだよね。


「断れっていって、結局ウィルが断るのね」

「ん?自分で断った方が良かったか?」

「・・・助かったわ、ありがとう」

意地悪な笑顔。
人の気も知らないで。

「さあ、踊ろうか、ユーリ。おいで」

そう言うと、私をダンスフロアへと引き入れた。




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