【改訂版】異世界でわたしは恋をする
パーティーから1週間後、その機会は訪れた。

ウィルに案内され、城の中にある部屋に通される。

そこは城の中の一番端、魔術士長ヴォルグがいる部屋らしい。


「お待ちしておりました、ウィル様、ユーリ様。私、この国の魔術士であるヴォルグと申します」

魔術士と聞いて、白髭を蓄えたおじいちゃんみたいな人を想像していたのだが、大分違った。

歳は30代くらいだろうか。目は少し細いが、整った顔をしている。

そして黒いローブで、身体全体を覆っていた。


部屋の壁側には天井までの本棚あり、びっしりと厚い本が並んでいて、窓はあるがカーテンで遮られ光も入らない。

テーブルには蝋燭が灯され薄暗く、薬草のような不思議な臭いが漂っている。


「これで、全員揃いましたね。みなさん、座って」

椅子に座っていたルードに促され、私達は着席した。


「ここならば、他に話が漏れる心配もない。始めましょうか」

「早速ですが、何の為に?」


こほん、と咳をした後、ルードは理由を話し始めた。


「単刀直入に言うと、我が国を手に入れる為という理由です」

「この国を・・・!?やはり」

ウィルの表情が一瞬にして曇った。

「ええ。もう少し詳しく言うと、我が国の同盟国を手に入れる為。最終的にはこの国もオウラのものにしようとしていたみたいです」

「そんな、恐ろしい事が・・・」

ウィルの額から一筋汗が流れた。
かなり動揺しているのだろう。


水面下で国を乗っ取ろうとしていた。

その為に私がこの世界に呼ばれたってこと?


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