【改訂版】異世界でわたしは恋をする
「ですが、オウラはこの国より遥かに戦力も魔力も劣ります。我が国の同盟国に戦争を仕掛ければ、我が国も必然的に戦争に参加する事になる。そうなれば、オウラはまず勝てない」
「それと、私がここに来たのにはなんの関係が・・・」
「そう、そこでオウラはこの世界で禁術とされている召喚術を使った。より強力な知能と魔力を持つ者を召喚するために。その者の力を借りて戦争をしようとした」
「そ、そんな力、私には・・・」
「でも、術は失敗してしまった。何も関係のない、ユーリ、あなたが召喚されてしまったのです」
沈黙の時間が流れる。
・・・そんな。
魔術の失敗で、私はここに来たって事?
「オウラも失敗したことで躍起になって探していたみたいですが、如何せんユーリには魔力がない。痕跡を辿る事も出来ない。結局召喚自体出来なかったという結論で落ち着いたみたいです」
体中から力が抜ける。
意識がなくなりそうだ。
「で、オウラには?」
「大丈夫。そういった陰謀がわかった以上、こちらも静観しているわけにはいきませんからね。手は打ってありますよ。安心してください、ウィル」
ルードは、怪しくも恐ろしい笑みを浮かべた。
「さすが兄上ですね・・・。私だけで調べようとしていたらとんでもない事になっていたかも知れない」
「逆に私を頼ってくれて助かったんですよ。ヴォルグ、ありがとう」
ヴォルグは黙ってルードに一礼をする。