【改訂版】異世界でわたしは恋をする
「・・・ユーリ、ユーリはあのメルンの花の庭で、私が言った言葉を覚えているか?」
「・・・結婚の話?」
「ああ。あの話。本気で考えてくれないか?」
その言葉に、心の中がざわつく。
「その話は、・・・わたしを慰めるためだけの言葉じゃないの・・・?」
「・・・どうして?」
ウィルの瞳が私を捕まえて離さない。
「っ・・・だって、あなたは若くて、格好良くて、この国の王子様・・・・こんな身寄りもない、どこから来たのかわからないような年上の女・・・」
「そんなことは関係ない」
「関係あるよ!私と一緒になったって良い事なんか何もない!あなたにはもっといい人がいるはずだよ!!」
「そんなことはない」
ベッドに腰掛けるようにして、ウィルは私の両手を自分の大きな手につつんだ。
そして、口元に近づける。
「なぜ、私が泣いたかわかるか?・・・もちろん自分のふがいなさもある。でも、それだけじゃない。お前が帰れない事に安心して、喜んでいる自分に絶望して泣いたんだ。ユーリの本当の願いは戻る事なのに、それを望んでいない自分がいて、泣いた」