【改訂版】異世界でわたしは恋をする
――あれから10年。


ウィルは公爵となり、メルンの花が沢山咲く丘に屋敷を構え、そこに私と子供達、そして数人の待女を連れて、住んでいた。


「こら、アンナ、カイ!あまり走り回ったら汚れちゃうわよ!」

「だって今日のドレス、走る度にひらひら舞ってかわいいのよ!」

「待って!お姉ちゃん!!」


毎日、笑顔の絶えない生活。

とても恵まれていて、幸せな時間。



だけど正直、自分のいた世界に未練がないわけじゃない。

たまに、ふと思い出しては、切なさに駆られる時がある。


あの世界で生まれて来たのだから、仕方のない事だけど。


きっと死ぬまで、たまに思い出しては懐かしく思うのだろう。





・・・もし、戻れる事が出来るのなら、その時は今まで支えてくれた人達に、感謝の気持ちを伝えたい。



ありがとう、と。



そして、今幸せだよって。




そう、皆に伝えたい。



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