春色の輝き
亮ちゃんが、ちょっと不思議そうにして、
「何浮かない顔してんだ?行くぞ。」
あ、そうだ。買いに行かなきゃなんだ。
すっかり忘れてた。
「あぁ、うん。行こっか。」
直樹。ほんと、今どこにいるの?
今、どうしてるの?
無事なの?
無事ならさ、手紙くらいさ、くれてもいいじゃん。
「ったく。直樹の事でも考えてんだろ?」
え?
「嘘、私声に出てた?」
亮ちゃんは、ふっ、と笑うと、
「そんなん叶哇の顔見てたら分かるって。」
そんなに顔に出てたんだ。
気を付けなきゃ。
「ねぇ!何のケーキ買う?ホールじゃなくていいよね。」
うーん。茉希ちゃんは、オレンジのムースとかが好きだよね。
裕貴は、ベリーのタルトが好きだよね。私と一緒で。
お母さんは、チーズケーキが好き。
お父さんは、チョコケーキが好き。
亮ちゃんは、モンブランが好き。
「もう決めてるの。」
私は、店員に、ケーキをとってもらった。
そんな私の目に飛び込んできたのは、ベリーの乗ったパフェ。
うわぁー!これ美味しそう!
「ねぇ!亮ちゃん!これ美味しそうだよ!」
亮ちゃんは、ちょっと呆れた顔をして、
「叶哇は、ほんと昔からベリー系のスイーツ好きだな。」
だってあんなに美味しいものは、この世に1つと無いと、私は思ってるから。
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