春色の輝き
「鉛筆……持てるかな。」
ちょっとだけ不安。
いつもの事なのに、何故か緊張する。
「あっ……」
コロン……。
鉛筆は、私の腕から落ちていった。
「やだ。鉛筆も持てなくなっちゃったの?」
こんなの高校に行って勉強ができないじゃない。
ヴァイオリンの弓だって……
マネージャーもできないんじゃない?
「でも、もう一回。もう一回頑張ろ。」
今度こそ。
「やった。持てた!」
鉛筆が持てただけで、こんなにも嬉しいのね。
「文字……書けるかな?」
そーっと、部活希望用紙に、鉛筆を滑らした。
「やった!」
マネージャーなれるかな?なれるといいな。
厳しいかもしれないけど、「やる」って決めたことは、ちゃんとやらないと。人生が
台無しだよ。
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