東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット
「ちょっと来い」
沢井の腕を引いたのは亮先輩の方だった。
訳の分からないまま私はお兄さんと取り残される。
「大丈夫??アイツ……弟に、何かされてない??」
兄弟とは思えないぐらい優しそうな聞き方に、少しだけほっとしつつ首を横に振る。
言えない。
亮先輩の友達であるお兄さんには言えないから。
何を話したらいいのか分からなくて、俯いてしまった私。
その顔は……次の瞬間に、ピンと糸で引っ張られたように跳ね上がる。
聞こえた罵声。
「何人目だよ?結局カズは大人しそうで!髪巻いてて!昔の女に似てたら何でもいいんだろ??」
これは……亮先輩の声だよね??
昔の女って……何??