東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット
夏になったら……倉野はいなくなる。
OBとして会いに来て、気持ちを伝えられたら……そんな俺の計画は根底から覆された。
更に……見えないライバルの影。
夏が終わった後、マスコットとして他の後輩に倉野を渡す事は苦痛だった。
だけど、全く接点が無くなる事がこんなに怖い事だったとは。
「結局、俺もアイツを縛ってる一人なんだよな」
大きな溜息を吐くと、床に落ちていたサッカーボールを足で弄ぶ。
ボールだったら……想いのまま操るのは簡単なのに。
せめて一番カッコいい先輩でいたい、なんてな。そんな全然カッコ良くない事を考える自分にもう一度溜息をつくと倉庫を後にした。