東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット
「まぁさ、お祝いでも残念会でも付き合うから!!」
毛糸玉を抱えてパタパタと走っていくサチを見ながら、私もサッカー場へ。
最後の姿を焼き付ける為に。
マスコットとしての使命を果たす為に。
いつもとは違う、大会用のチア服へ袖を通すと気持ちが引きしまる。
「はいっ、これ綾ちゃんの分!!」
渡された、ピンクのグラデーションカラーをしたポンポンを見てテンションが上がっている私に
「じゃあ今日はみんな精一杯の応援をしようね♪」
マスコットのリーダーである先輩の元気な掛け声。
だけどその瞳は、引退を前にして元気な声と裏腹にもう既に潤んでいたから……一緒に泣いてしまいそうな気持ちをぐっと堪えて前を向いた。