東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット
試合は昼前スタート。
移動のバスには既に部員さん達は乗り込んでいて……いつかを思い出して手が汗ばむ。
あの時……キャプテンがくれたキス。
それがどれほどの力を持っているか。
キャプテンは知らないよね?
たかがキスでこんな風に思うなんて、私はまだ子供かもしれない。
それでもあのぬくもりと、幸せな感触を忘れたくない。
大切にしたいんだ。
懐かしい記憶を辿ってバスに乗り込んだ私に
「綾ちゃん、ここ座りなよ」
それは、先頭の席に陣取っていた亮先輩の声だった。