東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット
「えっと……」
戸惑う私に有無を言わさず荷物をどけて、座ることを促す先輩。
後ろからはみんなが乗り込んで来てしまってるし……沙良先輩の話を聞いた後ではどんな風に接したらいいのか分からなくて。
顔を上げてキャプテンの姿を探すと、後部座席に久々に見た顧問と何やら真面目な顔をして話し込んでいる。
仕方が無い。
覚悟を決めるとそのまま亮先輩の隣の席へ。
バスが発進して、周りに気付かれないように手をそっと握られたけれど……
それはただ冷たいだけで、少しもときめかない自分を何故か客観視するように……私はされるがままになっていた。
そう、その位、私のココロ全部がキャプテンに向いてるから……
「夏休みデートしようか」
「新しく出来た水族館とかどう??」
その言葉に、人形のようにただ俯いてバスの到着を待つ。