見えちゃうけど、好きでいて
女性は、スッと姿を現した。

この登場の仕方は少し慣れてきた。

『レニ……』

「レ、レニ?」

女性は目をカッと見開くと、甲高い声をあげ姿を消した。

ヘッドホンをしたまま耳をふさぎ、目をつぶると女性の姿はなくなっていた。

「レニ?」

季衣は首を傾げながら時計に目をやった。

「2時か……」

帰宅して、布団にもぐりこんでから、まだ2時間しか経っていなかった。
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