見えちゃうけど、好きでいて
玄関まで行くと、目の前に身なりの整った白髪の男性が立っていた。

「源蔵、こいつに今すぐ社長室に来るように言いなさい」

目の前に息子がいるのに、直接話をしない父親。

正宗の後ろに立っていた源蔵は頭を下げると、前にいる正宗を見た。

「嫌味かよ」

正宗は露骨に嫌な顔をしながら、靴を履いて外に出た。

「ま、正宗様」

父親に深くお辞儀をすると、正宗の後を追いかけた。
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