見えちゃうけど、好きでいて
「そんなことを言いに、わざわざ家に来るか?」

独り言を言いながら、車に乗り込むと玄関の前にいる、父親をにらみつけた。

「何か企んでるな」

父親から視線を離し「出してください」と運転手に告げた。

「正宗様」

「悪いな源蔵……」

隣に座っている、源蔵は申し訳なさそうに首を横に振った。

「見合いにはいくよ」とつぶやくと視線を通り過ぎていく人々に向けた。

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