見えちゃうけど、好きでいて

付きまとう霊

季衣は自転車をこぎながら、肩を回している。
「もぉ、あっちに行ってください」
肩に誰かが乗っているらしい。 
「遅刻しそうなんですから、これ以上はまずいんです」
急いでいると、目の前に男性が飛び出してきそうだった。
「あ、ごめんなさぁい」
ギリギリのところでかわすことができた。
「ほら、前を見ていないと危ないんですから、どっかに行ってください……おかしいな、ちゃんとヘッドホンしてるのに……」
ぶつぶつ言いながら、職場に向かった。
< 29 / 86 >

この作品をシェア

pagetop