見えちゃうけど、好きでいて
「遅くなりまして、申し訳ありません」

声のトーンを変え、京香は笑顔で入っていった。

季衣は後ろで小さくなりながら、下を向いていた。

「いえ、大丈夫です。自分たちも今来たところなので」

「それは、よかったです」

男は、早速京香をエスコートした。

もう一人の男は、座ったまま携帯に視線を落としていた。

「おい、正宗。相手が来たぞ」

小さい声で、声をかけた。
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