拾ったワンコは御曹司!?…
鏡越しに見える入り口付近では
先程の女性が嬉しそうに拓海の腕に擦り寄っている。
なにあれ!?
そして側から聞こえて来た若いスタッフの声。
「安藤さんもしつこいよな?」
「本当だよ!
拓海さんは半年先まで
予約取れないって言うのになぁ?」
「金持ちのお嬢様は
金さえ出せばなんでも
出来ると思ってるんだろ?」
「ホント嫌だねー?」
「おい! 無駄口叩いてないで仕事しろ!」
「あっ蓮さんすいません…」
お喋りしていたスタッフは頭を下げて離れていく。
「ミー、俺が指のマッサージしてやろうか?」
「いいです!
お兄ちゃんにやってもらうと
指が攣りそう」
「何だそれ!?
まぁいいや、
拓海もすぐ戻るだろから待ってろよ?」
お兄ちゃんは私の頭をポンポンとして離れて行った。