拾ったワンコは御曹司!?…

拓海は再び私をソファーに座らせ

今度は拓海も隣りに座る。

私と向かい合うように。


「この10年間のミー事

何も知らない訳じゃないよ?

蓮からミーの話はよく聞いていたし、

写真も見せてもらってた」


「お兄ちゃんから?」


「うん。 ミーが蓮を怒った事や蓮に泣かされた事、

バレンタインのチョコを先輩に作った事」


「バレンタインのチョコ?」


「あの時の蓮、凄く寂しがっていたよ。

可愛い妹が他の男の為にチョコを作った!って?」


お兄ちゃんが?

そんな事何も言ってなかった…


「悔しくて齧ってやったって、言ってたな」


そう。 齧られて結局チョコは渡せなかった。


「それから高校の時はデートを

何度と阻止したって言ってたな?

大事な妹を誰にも渡さないってさ!」


うん。 何度も邪魔された。


「俺さ蓮に言った事が有るんだ。

ミーが高校を卒業する時、

そんなんじゃミーは嫁にいけないぞ?って!

少しはミーを信用してやれってね」


「それでお兄ちゃんは?」


「信用してるってさ!

でも可愛い妹は誰にもやらない!って

あいつ本気で言ってたよ?

まるで兄貴じゃ無くて親父だったな?

あの頃の蓮は」


お兄ちゃんがそんなふうに

私を思っていてくれたの?


私はいつも意地悪をされてると思っていたのに…





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