森下くんの恋愛事情

中に高梨さんがいて。

制服がカーディガンごと切られていた。

腕からは血が出ている。

少し涙のあとがあって、

頬にもかすり傷的なものがある。

スカートも所々切られていて太ももが見える。

とりあえず、僕が着ているカーディガンを高梨さんに着せて。

ぎゅっと抱きしめた。

少しダボイけどないよりマシ。


「ごめんね、気づいてあげられなくて」

「ううん。来てくれてよかった。

…怖かった」

「ほんとにごめん。ごめんね」


ずっと大丈夫なふりしてたんだ。


「このカッコじゃ出れないよね?

どうする?」

「とりあえず、スカート長くすれば外には出られるよ?」

「保健室へ行こうか。

そのカッコじゃ帰れないし」
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