森下くんの恋愛事情
暗い。
もう、夜じゃん。
こりゃー帰るの怖いわ。
それでも、高梨さんは、歩いている。
超ゆっくり。
怖いらしい。
僕は、電車でひと駅だけど、高梨さんは、どうなんだろう。
「高梨さん。どこに住んでるの?」
「えっ、な、何が?」
…大丈夫なの?
怖すぎで地味に震えてる。
「大丈夫?」
「ぜ、全然大丈夫!」
「じゃ、なさそうだね」
さり気なく、高梨さんの手を触ってみた。
今日一日、空回りだったんだから、これくらいいでしょ。
高梨さんは、それに気づいて僕の手をぎゅっと握った。