森下くんの恋愛事情
「高梨さん、協力ありがとう」
「いえ、紅茶もらえるなんて思ってなかったです」
「悠李くん、誰よりも先に高梨さんを迎えにこれてよかったね」
「…はい」
この人、なんか怖い。
笑ってるけど上っ面だ。
「作り笑い、どうにかしたらどうですか?」
莉音が言う。
あ、普通に言っちゃうんだね。
「ごめんね。もう、癖だから」
「私みたいですね。昔の私」
「その頃は作り笑い上手だったかい?」
「もちろんです。あなたよりうまい自信あります」
「そうか、俺も頑張るよ」
「無理に笑わなくてもいいのに」
「え?」
会長は真顔になる。
というか、びっくりした顔。
「無理に笑うっていい事無いですよ?」
莉音は振り返って僕の方に来て手を引いて生徒会室を出る。
廊下には、莉音が見つかったっていう放送が響いていた。