森下くんの恋愛事情
「実家に戻ってどうするの?あの家には居場所なんてないでしょ」
「婚約することにした。居場所なんてないけど。
その代わり、二人が帰ってくるから、ここに。
カオルさんとも話はつけてある。
申請も終わってる。だから大丈夫」
「大丈夫なんかじゃねぇよ!!」
響の声が荒々しくなる。
「なんで婚約なんかしてんだよ!!
あの女の言いなりにならないようにここに来たんじゃないのか!?
ふざけてんじゃねぇよ!!
いつもいつも勝手すぎだろ…」
どんどん弱々しくなる響の声が震える。
「そうだよ?でもね。みんなを守るにはこれが一番なの」
「婚約なんてやめろよ…」
「ごめんね。荷物片付けてくる」
部屋を片付けに行く姉さん。
何してんだよ。
ほんとに。
その後、みんな静かに部屋に入っていった。