森下くんの恋愛事情
有無を言わせない担任は、そそくさ出て行った。
高梨さん。囲まれました。
「良かったわね。悠李くんと一緒で」
「ほんと、いいご身分ですこと」
「ねぇ〜、変わりなさいよ」
高梨さんは、地味に責められている。
「嫌」
はい。めっちゃ笑顔で愛嬌よく振舞っていたけど、
声がいつもより少し低い。
確実に断っている。
そして、僕にも、男が。
「おい、森下。俺と変わってくれよ〜」
「高梨さんなんてズルい」
「最初から高梨さんなら俺即座に立候補したし…」
「だよなー。俺も俺も」
君たち。言うまでもなく話がそれてないですか?
まぁいい。
意外と授業は、さっさと終わり。
みんな帰っていった。
その後の、高梨さんは、僕に声をかけてくれた。
「部活行こ?」
「いこっか」
かばんを持って体育館へ向かった。