ギャップだらけの二人
そう…
私と理緒は声優オタクである。

理緒は、ちょっと甘えた弟系ボイス・飯田真澄(イイダマスミ)さんのファン。

私はちょっと大人のバリトンボイス・辻本樹(ツジモトイツキ)さんのファンである。

最近はちょっとした声優ブームで、声がステキなのはもちろん、辻本さんも飯田さんもイケメンだ。
二人以外の、イケボと言われている若手の声優さんたちも、みんなイケメンである。

クラスの女子にも、声優ファンはいるけれど、私と理緒は秘密にしている。

やっぱり、みんなから゛声優オタク゛と思われるのはイヤだし。
私は、ミス桜華としてのプライドもある。

私たち4人がバスケ部の部室で昼休みを過ごすようになったのは、告白されることから逃れるためと、それぞれに隠したい裏の顔があるから。

お互い、裏も表も知っているこのメンバーと一緒にいることは、すごく安心出来るのである。



「5分前だ、そろそろ戻ろう」

拓斗の言葉に、私と理緒はアプリを閉じる。

『理緒先輩、また会いにきてね』

飯田さんのボイスに、

「分かった、待っててね」と、答える理緒。

私のスマフォからは、

『智恵美、またな』と、辻本さんのバリトンボイスが囁く。

後ろ髪を引かれる思いで、私はアプリを切った。

  







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