~悪魔執事とお嬢様~


「あなたのお考えになっていることは少し
間違いですね。」



男は、私がなにも言わないうちに、
私の疑問へ答えた。

本当に、こいつは悪魔のようだ。
心が読めるというわけか。


なら喋る必要もなかったな。



「ええ、そうですね。

しかし、私はあなたの魂を喰らいたいだけではないのですよ?」



魂を喰らいたいだけではない?
実に変わった悪魔だ。


何が望みだ?



「簡単に言えば、
あなたを側に置いておきたい。

いえ、もっというと、あなたを私の物に
したい。ただそれだけです。」



淡々と男は語ったが、内容は
気持ちの悪いものだった。


魂を奪われるだけならともかく、
私を彼のものにするなどというのは

危険すぎる契約だ。


いくらなんでも代償が大きすぎる。


この悪魔、
もしただの人間だったらただの変人だろ。



「あなたは素晴らしい。
喰らうだけではもったいない。

その体も、心も、魂も。
全てに価値があるのです。

魂を喰らい、身体を喰らい、心を頂く。」



ーーペロッ


舌なめずりが聞こえた。


私をコレクションにすると言うよりは、
食事のメインにする気のようだ。


悪魔について詳しいわけではないが、
心も身体も喰らうというのは
はじめて聞いた。


気持ち悪いな。全身がゾクゾクした。
もちろん悪い意味で。

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