~悪魔執事とお嬢様~
「ええ。次はハープです。」
休みなしのぶっ続けでしかもハープとか、
わざとだろこれ。
私の顔を苦痛で歪めたいのかこいつ。
「……はいわかりましたよ。」
「では、ヴァイオリンを預からせて
いただきます。
ハープの方は、ご希望の曲があれば
そちらにしますが。」
「ハープなんて5歳からは
もうやっていませんし、
難易度が低ければそれでいいです。」
「かしこまりました。
では、最近パリで流行っている
アッセルマンの泉にいたしましょう。」
そんな最近流行りの楽譜がうちにある
はずないだろうに。
「楽譜は今書き上げていますので。」
「あぁ、そうですか。って、
どういうことですか!?」
「一度みたものぐらい覚えますよ。
Mine lady?」
こいつが正真正銘の悪魔だということを
忘れていた。
確かに悪魔なら容易いだろうな。
しかも書き上げるのに数秒だ。
「できました。
お嬢様は楽譜をみて曲調を
とらえていてください。
私はハープの用意をしにいきます。」
渡された楽譜をみると、
難易度は少し高そうに見えた。
だが、悪魔のトリルほどではない。
ヴァイオリンとハープなので
比べようがないが…
「ハープは一台しかないので、
分からないところは兼用です。」
用意が早いなこいつは。
しかも、あんな重いグランドハープを
もってくるなんて。
「ハープを何台も買うわけないんですから
そんなのいう必要ないでしょうに。」