~悪魔執事とお嬢様~
「私が興味を持っているのは、
あなたの復讐心です。
怒り、憎しみ、悲しみ、これらすべてを
あなたは今、心に宿している。
今だからこそ、
以前よりも価値が上がるのですよ。」
良く分からんが、とりあえず私の復讐心を
こいつは気に入ったわけだな。
「いえ。
私は以前からあなたを目にかけていた。
そして復讐心によって、あなたを気に入る理由が増えただけのことですよ。」
こいつが言いたいのは、
私にもともと価値があり、
復讐心によって価値が上がった
ということか?
なんで私がいちいち
訳さなければいけないのか。
第一、契約したいなら分かりやすく話せ。
お父様ならもっとうまく契約を交わすぞ。
「あなたの頭がよければ訳さなくても
分かるかと。」
そういう問題ではない。
私が解ろうが解るまいが、相手が
理解できるものを提示すべきだ。
だがこいつは、取引が下手と言うよりも、
わざとだな。
俗にいう毒舌か。
「おい、悪、魔…」
大事な話なため、きちんと声をだした。
苦しいが、私の魂を左右するんだ。
仕方ない。
「その呼び方はいささか気分が悪い。
私の名前をお教えしましょう。
私の名は、
シリウス・アヴェリー(Sirius・Avery)。」