~悪魔執事とお嬢様~
自分で言うのかそれを。
「腐った宝だろうがなんだろうが磨けば
綺麗になるものだぞ。」
「ですから、お嬢様の腐りかけた宝を
私が綺麗に一生懸命に磨いているのです。
持ち主があまり懸命に行わないのが
一番困った問題ではありますが。」
あー、とんだ地雷を踏んでしまった。
「まあ、磨くのが私の仕事ですから、
別によろしいのですが。
早く歌いませんと、
買い物に間に合いませんよ。
明日はお仕事で忙しいのでしょう?
私も明日は数時間程不在でしょうし、
できる事はやっておきたいですね。」
だから早く歌を終わらせろと…………
って、
「はっ?なんでお前がいないんだ!?」
「お寂しい思いをさせてしまいましたか?
ご安心を。
そこまで遠くにはいきませんので。」
そういう問題ではない。
何故、主にそれを前もって報告と
確認をしないんだ!!
いやそもそも、不在確定で話を
進めている事自体おかしい。
「私に言わなかったことはこの際咎めない。
が、ヴィル爺に報告は?」
「おやおや、
お嬢様が御命令なされたのでしょう?
ライバル社……特に、フォスター社に
悪い風を当てている企業の事を探れと
申されたのは。」
「言ったが、せめて何時頃に何時間ぐらい
居ないかを言うべきだろ普通。」
怒れてくるどころか呆れる。
「それはそれは。
配慮が足りずに申し訳ありません。
なにしろ、
執事という役職ははじめてですので。」
……そうなのか。
てっきり、ヴィル爺に話した内容が
ほとんど真実なのだと思っていた。
自分から執事を選んでいたし、経験済み
だと思ったが。
手際も良かったからなおさら。