~悪魔執事とお嬢様~
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あれから3日たった。
昨日、各々から返事の手紙が届いた事により、私はどうやら一週間後に伯爵となるらしいことがわかった。
その上、シリウスが一昨日のうちにフォスター社と敵対する会社を調べ尽くしてもくれた。
バカクィンテッドが雑務に珍しく手を出さなかったお陰で、全てがスムーズに終わったのだ。
模様替えももちろん順調に終った。
今の気持ちは、フランス語で言うところのシュペルブ(最高)だろう。
私はあの宝石に3日間、近づかなかった。
いや、机の中にあるために近づくことは
避けられないが、少なくとも目にしようとはしなかった。
もちろん、シリウスにすら話していない。
不吉なものに関して考えたり話したり
したら碌なことが起こらないからだ。
現に私が『生きて奴らを殺す』だなんて
言ってしまったせいで“田舎者の執事”を
雇うことになってしまった。
ホント、あの執事は碌なことがない。
これは今日のことだが、またあの記者が
屋敷にやって来たのだ。
普通は追い返すだろうが、
あいつはわざと、私が取材を受けるという旨を記者に伝えた。
「宣戦布告をしてはいかがでしょう?」
などと記者を通す前に私にいっていたが、
実際はそんな理由じゃない。
私が朝、ブレックファスト・ティーの味が薄いことに文句をいったので、それの仕返しだ。
その証拠に、記者には甘いミルクティーを出したが、私にはコーヒ並みに濃い
ブレックファスト・ティーを出してきた。
濃くしろとはいっていない。
味が薄いと言ったんだ!
まだある。
私の手紙への返信と一緒にキティの恋文が混じっていた。
私を心配している内容が三行で、
そこから下の四十二行はシリウスへ
宛てられていた。
親友より親友の執事か!?
それだけでも腹正しいが、
残り四十二行を封印するわけにもいかず、
私はその手紙をシリウスに渡した。
すると彼はそれを読んだあとに、
こう言ったのだ。
「わたくしにはお嬢様以外眼中にありませんし……」
私が気味悪がるのを承知で、
私の目を見て。何がしたいんだ?
心底理解できない。
ピシャリとやり返す気力なんて無いし、
そんな事のために気力を使いたくなかった。
他にも、アーノルドを屋敷に入れて
可愛がっていたら、あいつはアーノルドを睨むし、ヴィル爺が私に注意するとここぞとばかりに告げ口する。
と、まだまだたくさん愚痴話があるが、
全部思い出すと一年が過ぎ去ってしまいそうなのでこの辺にしておこう。