~悪魔執事とお嬢様~


礼儀がなってないが、
死んだと思われていた人間が戻ったなら

当然の反応ではある。

ということで、この件には目をつむろう。



「みんなー!!みんなーー!!
特にヴィル爺!!」



セーラが呼んでいる相手は、当時は執事であったヴィルジーだ。

文字通りの執事といった出で立ちの老人なために、こんなあだ名がついた。


まさかこの呼び名が定着するなんて、

幼いときの私は夢にも
思わなかっただろう。



「んだよセーラ。」



そういって来たのは、
コックのエルン・ドーソン(Ern Dawson)。

コックのくせに塩と砂糖の区別もつかない
バカだ。



だが、目はとてもよく、
スナイパー銃を扱うのがとてもうまい。


私は普段エルと呼んでいる。


容姿は金髪碧眼。若干日焼けした肌に、
同じく金色のアゴヒゲが特徴的。


見た目は怖そうなのだが、結構な天然だ。



「って、お、お嬢様!!」



「久しぶり、ですね。」



セーラをはねのけて立ち上がり、
私は笑って言った。


あれ…、笑うってどうするんだろうか?



全然笑っていなかったせいか、
微笑む、がひきつった笑いになっている。



「んもう、」



「なんですか?」



「セーラさん。」


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