~悪魔執事とお嬢様~
「ええ。確かに条件を提示いたしました。
助けた変わりに、
フォスター様の執事にするよう。」
「また、何故です?」
「近頃職を失くしたばかりでしたので、
ひとつ目は職が欲しかった、
という理由です。
もうひとつは、家も失っていたので、
泊まり込みの職を要望しておりました。
結果、執事を希望した次第にございます。」
筋は通っている。
さすが、嘘を付くのがうまい。
理由が本当ならば職なし家なしだった
ということだが。
「ほう。しかし、
なぜ職も家もなかったのでしょうか?」
絶対に言われるだろうとは思った。
伯爵の執事になる人間が怪しいのは
まずいからな。
「それに関しましては、
前の主人がお亡くなりになったからです。
家も住み込みでしたので。」
話をすればするほどややこしくなる…。
「とにかく、
彼が執事になったということです。」
私はそういったものの、
ヴィル爺は納得していないようだ。
「………ヴィル爺は、もうお歳なので
体力面を必須とする執事をするのは
難しいと私が判断しました。
まあ、とりあえず代理執事ということで。
あ、辞めさせる気はありませんよ?」
これはある意味本心で、ある意味嘘だ。
歳を考慮して
ヴィル爺を心配しているのは本当だが、
シリウスを執事にすることへの言い訳と
言われればそうなる。