~悪魔執事とお嬢様~
「「「は、はい!!!」」」
ヴィル爺とシリウス以外の全員が叫ぶと、
遅れてヴィル爺も、
「かしこまりました。」
と、シリウスと同じように胸に手を当て、
会釈した。
「御意。」
シリウスも全く同じ仕草で頭をさげる。
案外ヴィル爺とシリウスは、仲良くなれる
かもしれないな。
私はみんなが掃除をしている間、
自分の部屋に行った。
その部屋は暗くて、私の使われていた
私物はほこりをかぶっていた。
次に、お父様の書斎へ行く。
いつもは山盛りの資料だらけの机は、
綺麗に片付かれていた。
ヴィル爺がやったのだろう。
資料専用の本棚にきちっと収まっている。
だが、片付かれていないものが、
一つだけあった。
写真だ。
お父様と、お母様と、私も写っている。
幸せそうに笑っている写真のなかの私は、
今の私とは大違いだ。
お母様もお父様も、同じように
微笑んでいる。
そこだけは、ほこり一つ着いていない。
それを見ると、なぜか私は安心して、
お母様とお父様の寝室に行った。
寝室は、お父様の書斎の隣の部屋だ。
ーーガチャっ
ドアを開けると、きしんだドアの耳障りな
音が、ギィィっと聞こえる。
「あっ…」
見なければよかった、と思った。
私の覚えている綺麗な部屋とは違う。