~悪魔執事とお嬢様~
「はあ。かしこまりました。
しかし、お嬢様…、あなたは…。」
ヴィル爺はなぜか口ごもる。
何がいいたいのだろう?
私は先を聞きたくて尋ねた。
「なんですか?」
「お変わりに、なられた。
あの事件で、あなたのお心に宿していた
物の多くを失われたのでしょう。
しかし、反対になにか別の物を拾われた。
なにか恐ろしいものを。」
恐ろしいもの…。
恐らく、
悪魔との契約が関連しているだろう。
「それは、ヴィル爺の言葉か?
それとも、武闘に愛される人間の言葉か?」
もう、
敬語など使わずに私はヴィル爺へ問う。
契約で、
私が変わったと言うことだろうか?
それとも、墓を見たときから?
ヴィル爺は、少し考え込むかのように
白髪混じりの灰色のアゴヒゲをなでた。
が、少しして私の目をまっすぐ見据えて
言った。
「その、両方でございます。」
「……そうか。」
本当は、どちらに言われようが関係ない。
確かに私は変わった。
だがそれは、私の復讐に必要なことだ。
良心などを持ってしまえば、
私は必ず復讐をためらってしまうだろう。
そうならないためには、変わることも
必要なのだ。
「では、ヴィル爺。
先程言った通りに、お願いします。
掃除よりもこちらを優先させてください。」