~悪魔執事とお嬢様~
あぁ、今度は誰が出てくる?
アニーか?
眠っているときくらいゆっくりさせてほしい。
眠るのは休むためであって、夢に翻弄されるためじゃない!
「そう、あなたには、
もう選ぶ道はないのです。」
おお、神よ…。
その、神経を逆撫でするかのような卑しい笑いと共に聞こえる、無意味な甘い声を聞けばすぐにわかった。
…なんでよりにもよって夢にまでシリウスが出てくるんだ!!
私の脳は一体どうなっている!?
「夢…まあ、
そう考えるのもひとつの手でしょうね。
夢に私は入り込んでいるだけですから。」
なんだ、こんな夢を見たのはシリウスのせいか…
心配をして損した。
「あなたには、私しかいない。
それを、くれぐれもお忘れなきよう
お願いいたします。
ワン、トゥー、スリー。」
またあの口癖か。
私は黒に吸い寄せられ、白にいる
お父様とお母様は見えなくなっていった。
そこからはもう、全て暗闇だ。
目を閉じても閉じなくても変わらない。
私はなにもしなかった。
ただ浮いているだけ。
夢としての機能を終わらせてゆっくり眠れればいいのに。
とりあえず浮いたまま膝を抱えた。
目が覚めるまで、あと何分だろうか?
この姿勢をずっと保ち、心のなかで
秒数を数える。
本来眠るというのはこういうことで
ないはずなのに。
ちょうど5分経ったときだった。
(夢で数えたのだから実際はもっと
短いか長いかのどちらかだろうが。)