~悪魔執事とお嬢様~
暗かった周りが突然ぼんやりとした
オレンジ色の明りが見えた。
夢から覚めたのだ。
「起きられましたか?」
誰かの声が聞こえた。
恐らくシリウスだろうが。
「…今、何時だ?」
思った通りシリウスだったようだ。
片手にランプを持っている。そのせいで
オレンジ色の光が見えたのだろう。
「午後8:24:35:です。」
シリウスは胸ポケットから金色の
懐中時計を取りだしてそう言った。
「なぜ秒数まで話したのかはあえて
訊かないが、
それはともかく、あの夢は、本当か?」
「夢、ですか?」
目を開いてシリウスは首をかしげる。
やはり、夢は夢であったか。
「…いや、なんでもない。忘れてくれ。
私の思い違いだったようだ。」
そういって掛けてあったシーツをのける。
そのまま倒れこんだはずなのだから、
シーツなど被った覚えはないのだが……
まあ、そこはヴィル爺かシリウスが
掛けたのだろうな。
私はドアノブに手をかけた。
「あなたの見た夢は、本物ですよ?
お嬢様。」
シリウスは後ろからそう言ってきた。