~悪魔執事とお嬢様~
私はドアノブに手を掛け直し、
今度こそドアを開けた。
シリウスが後ろから着いてくる。
私はダイニングへ向かった。
よく考えれば今の格好はすさまじいが、
着替える気も失せる。
多分私の服もましな物はないだろうしな。
(かといって今の血まみれなドレスも
どうかと内心思う。)
考えることは色々と多いが、
今はそんなことよりも他の皆と顔を
合わせる方が大事な気がした。
階段を下りて長い廊下を歩き、
シリウスがダイニングの扉を開けた。
執事として当然の行動だ。
扉の先は、思ったものと違う光景だった。
なぜかは知らんがダイニングは飾られ、
テーブルクロスは豪華なものに。
食事はローストビーフだけでなく
豪勢なものが勢揃いだ。
とはいえ、真っ暗だった。
ただ、最大の問題は、みんながいない、
ということ。
おかしい。
バカクィンテッドとヴィル爺がいない。
後ろを振り替えると、シリウスが
消えていた。
私の目は夜行性と言われるほど
暗闇に強い。
いや、白人ならば皆そうだが。
だからこそ鮮明に状況が分かったのだが、
それも、いきなり眩しいろうそくの炎で
目の前が真っ白になった。
「「「「「おかえりなさいませーー!!」」」」」
全員がそう叫ぶのが聞こえた。
目を瞑って腕で顔をおおっている
今の私には、耳が何よりもたよりだ。