~悪魔執事とお嬢様~
彼女が頬を赤らめて見つめた相手は、
シリウスだ。
この恋する乙女は本当に名前通りで、
すぐに恋をしては勘違いをする。
シリウスの外見は確かに普通の人間ならば
恋をするだろう。
多分老若男女問わずに彼の顔のよさを
認めるはずだ。
「キティ、悪いことは言わないから
彼だけはやめた方が身のため……」
「まあ、シャロン。あなたは
妬いているのね?あの方、素敵だものね!
ごめんなさい。でもでも、
彼は私の目を見つめてくださったの。」
キティの恋する乙女レーダーが
起動してしまった……
いや、まてよ?
これはシリウスとキティをくっつけた方が
私の身のためかもしれないな。
うん。
そもそも
シリウスが私に異常な執着心持ってて
ヤンデレじみてるのが問題なんだ。
執事と主人(しかも異性)がそんな
関係なのはよくないし。
(間違っても両想いだとは
思わないでほしい。)
「キティ、応援する。
どうかシリウスとお幸せに。」
ちなみに、キティと話すときはさすがに
普通の口調だ。
今まで敬語を使っていたのは、
それに値する人間に使っていただけ。
例えば、お母様とお父様は敬愛する方だ。
敬語は当たり前だろう。
ヴィル爺もバカクィンテッドも一応歳上。
おば様も同じくだし、お客には建前上だ。
その点、キティはお客ではあるが、
私と同等の人間。
敬語を使う必要はない。
「あのお方、シリウス様とおっしゃるの?
とても素敵だわ!」
完全に浮かれてる……。
初対面を下の名前(日本語的に)で
呼ぶ時点でどうかしている。
しかもやたら敬意を払った言い方だ。
「様付けはいらないだろう?
キティの方が位が高いんだから。」