~悪魔執事とお嬢様~
「そんなことないわ!
あの方は様を付けるに値するべきお人よ!
凛々しく美しく賢く、さらに執事という
大業をなし得ている素晴らしきお方。」
昔、執事をけなしていた覚えが
私の記憶にはあるのだが……!?
まあ、目をキラキラさせているこの娘には
何をいってもわからんだろうな。
悪魔に恋をしているなど。
「キティ、
この際だから告白でもしたらどうだ?」
私は彼女の耳元にそう囁いた。
悪魔の誘惑は人として罪に問われるが、
恋の誘惑は罪にならないからな。
恋の……クスクス。
本当は楽しんでいる私がいる。
いや、楽しんではいけないという
抑制のきいた私がいるのか。
フフ。どちらでもいい。私が楽しければ。
「そうね!
両想いな私たちには
言葉などいらなくとも、言葉にすればまた
愛が実感できるもの!」
私としたことが、キティのスイッチを
押してしまったようだ。
これでシリウスが私を諦めてくれれば
いいのだが……
シリウスは本気で私の心を掴めると
思っているようだからな。
「シリウス様ーーーー!」
キティがシリウスにすり寄り、
体をくねくねさせて顔を赤らめた。
「おや、あなたは確か、
クリスティアン・E・ナイチンゲール様でしたね。」
「お名前をあなたの神々しい脳に記憶して
いただけるだなんて、
キティは幸福者ですわ!!
キティは、
あなた様の事を愛しております!
それはもう、母なる大地を我ら人間が愛していることと変わらないくらい確実に、
複雑に、深く!!
あなた様の声が好きです!
お顔立ちが好きです!
性格が好きです!
なにもかも、なにもかもが!!」
ちなみにキティは、私が呼び間違えたこの
キティという愛称に非常に満足している。
今では彼女の家族さえもキティと呼んで
いるのだから毎回それを聞くと笑ってしまう。