~悪魔執事とお嬢様~
しかし、キティも変人の域を越したな。
これでは
私の周りが低脳ばかりじゃないか。
「ナイチンゲール様……
申し訳ございません。
わたくしには、もう心に決めたお方が……」
私だとか絶対に言うな!
キティの矛先が私に向くから!
「まあ、それはやはりシャロンですの?
では、何をすればキティは
あなた様の愛と寵愛をいただけますの!?」
キティが本当にヤンデレ化してきたぞ?
この愛情がもし自分に向けられたらと
想像すると本当に恐ろしい。
長年にわたり彼女が好意を持った男性への
態度を見て来たが、その行動力は
凄まじく、更にしつこいのだ。
「申し訳ございませんが、
それは不可能でございます。
何しろ、わたくしもナイチンゲール様と
同じくらい、お嬢様が大切ですから。」
執事としてあるまじき発言だな。
仕方ない。ここは私が後押ししてやるか。
「シリウス!」
「はい、お嬢様。」
いつもは性格悪いくせに今回はわざと
素直に返してくる。
「キティと付き合え。私もその方が
微笑ましいぞ?
断るというのなら執事としても、
私を大切に思うものとしても失格だな。」
これで選べる道はほぼ1つだな。
シリウスが失格なのを認めるなんてまず
ないだろうし。
「それは主が命令する内容と異なります。
いいですか?
主でも身の回りの世話などに関しての
命令権しか持っていません。
プライベートに関してはお嬢様が口を挟む
必要はないのですよ?
第一、ナイチンゲール様とわたくしの
位には差が大きすぎます。
その上、お嬢様を想う者ならば、
嫌われてでも好かれようと努力するのは
当たり前ではありませんか?」
「長々と屁理屈の説明をどうも!!
位の差が云々ならば私も同じだ。
ああだがそんなことどうでもいい。
私の意に背くこと自体
不愉快極まりないというのに。」