~悪魔執事とお嬢様~



「どっちだっていいじゃない!
発音はいっしょなんだし。」



「全然違います。

速答はなにも考えずにさっさと答えること
ですし、即答はきちんと考えてますから。」



例をあげるとしたら、
mummy(マミー)とmammy(マミー)
だな。


発音はほぼ同じだが意味はえらい
違いだぞ?
(mummyは木乃伊。mammyは母。)



「理系の私に文系押し付けない―――」



「わかるわぁ!
言葉って、大切だものね!

キティも、愛の詩を考えているとき、
いつもいつも、言葉の意味を考えるもの!」



またまたキティのスイッチを
押してしまったようだな。


私でも引いたぞ!



「キティの云いたいことと
私の言いたいことは違うと思うぞ。」



愛の詩と単なる言葉の指摘を
一緒にされたくはない。

というか、問題点がだんだん
ずれてきたな。



「まあ、いっか。

なんかシャロンは
自分の事を心配ないって思い込んでるし。

何かあったときは執事くんが
なんとかしてくれるだろうしね。


さ、食べましょ。」



淡々とした口調でおばさまは椅子に座り、
それをみた他のものも
同じように席につく。



私も椅子へ腰掛け、無言で夕食を食べた。


これは……エルが作ったものじゃないな。

いくら修行してもここまで味が劇的に
変わるわけない。


イギリス料理はただでさえ味が
薄いというのに。


しかも私の好みの味だ。


きっとシリウスだな。作ったのは。

私の個人情報を
知り尽くしてるからこそだ。

< 70 / 205 >

この作品をシェア

pagetop