~悪魔執事とお嬢様~
しかし、
自分の素性が知られ過ぎて恐ろしい…。
これで
シリウスという生き物がよくわかった。
どうやら態度以外は完璧なようだ。
全員静かに食事を済ませ、
(といっても実際に食事をとったのは私とおばさま、あとキティだけだ。)
そのあとは客人をもてなすための小さな
部屋で(今度は本当に)全員で、
軽く酒を試みた。
ただ、アベノは酒に弱いとかで、
シャンパン1杯で終わった。
人種的に黄色人は弱いらしい。
彼らのような使用人たちが、
私たち貴族と同じ場で酒を共にするなど、
本来はあり得ないが、今回は特別だ。
私が酒を飲んだのは5才の誕生日だが、
その時に少しふらついたため、
あまり飲んだことがなかった。
だが、今では自分が強い方だと言うことが
分かり、自意識を保ちながらもかなりの
量を飲んでいる。
後でワインもたしなんだが、私には合わなかった。
「よろしければ、デタンキャージュさせていただきましょうか?」
シリウスが気を使ってそう言った。
デタンキャージュをすると渋みが
なくなるらしい。
「あまり飲みすぎるのも体に毒だ……
毒です。
やめておきます。」
ヴィル爺にものすごい形相で
睨まれたために敬語で答えた。
先程、自意識を保ちながらと言ったが、
ぎりぎり危ない。
二日酔いで次の日頭を
痛くしてしまうのも困る。
……二日酔いしたことはないが。
「朝の心配をしていらっしゃるなら、
問題ございません。
心配なさらなくとも、今日明日はゆっくりお眠りください。」